レジスタントスターチの健康機能 - プレバイオティクス作用 1

プレバイオティクス(prebiotics)は1990年代に英国の研究者達により提唱された概念で、「大腸の特定の細菌を増殖させることなどにより、宿主に有益に働く食品成分」と定義されています。(1)つまり、プロバイオティクスが菌そのものの作用によって腸内環境を改善するのに対し、プレバイオティクスは有用な腸内細菌の餌となる食品成分を摂取することにより腸内環境を改善するというものです。
最近では、このプロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせたシンバイオティクスという考え方も注目されており、その考えを活かした食品も開発されています。

プレバイオティクスの条件としては次の点が提唱されています。

①口・胃・小腸などで分解・消化吸収されず、大腸に達することの出来るもの
②大腸で善玉腸内細菌の栄養源となり、それら細菌の増殖や活性化を促進するもの
③腸内フローラを健康的な構成に改善・維持するもの
④腸内菌の発酵を通じて宿主(ヒト)の健康に有用な効果をもたらすもの


レジスタントスターチが難消化性であることについては多くの研究により明らかになっています。
加えて、その大部分が大腸に達し、そこで善玉菌のエサとなり、ヒトの健康に寄与していることも多くの研究により裏付けられており、レジスタントスターチがこれらの条件を満たしていることは広く受けいれられているでしょう。

レジスタントスターチのプレバイオティクス機能として報告されているものの中には、インスリン抵抗性の改善、整腸作用(便通改善)、抗脂血作用、ミネラル吸収促進作用、尿中窒素低減作用、大腸がん・炎症性腸疾患の予防・改善、アレルギー抑制作用、腸管免疫の増強なども挙げられます。
これら研究についても順次紹介していきたいと思います。

まず、レジスタントスターチと整腸作用(便通改善)についての研究です。

レジスタントスターチは、腸内善玉菌の餌となり、菌の増殖・活性化を促進します。これら腸内菌の発酵を通じて腸内のpHの低下がもたらされ、善玉菌にとって大変住みよい腸内環境が生まれることになります。
これらが相まって、便通の改善にも効果がもたらされることになるのです。

多くの研究者達が、レジスタントスターチと便通改善についての研究を行っています。
ここでは、例として豪州の研究者達が行った研究を紹介したいと思います。(2)

彼らは、11名の被験者に、1日当り5g(低RS)又は40g(高RS)をクロスオーバー的に各3週間
毎日摂取してもらい、各摂取期間の完了時点で便を回収して、レジスタントスターチの摂取量と糞便量・pHの関連性を調べています。

研究者達は、本試験の結果として、高RS摂取群の糞便量は有意に増加し(p<0.01)、pHについては高RS摂取群で顕著な低下(p<0.05)が認められたと報告しています。
被験者達に膨満感はなく、排便状態も良くなったとの意見があり、これらの試験結果をふまえ、レジスタントスターチが、腸内環境の改善に極めて有益な影響をもたらすと結論づけています。

糞便量の増加効果に加え、善玉菌の活性化・増殖や腸内pHの低下は、消化吸収されずに大腸に達したたんぱく質がもとの有害物質、フェノールやアンモニアの劇的な低減効果をもたらします。

11名の被験者に毎日40gのレジスタントスターチを3週間摂食後の糞便中のフェノール及びアンモニアを測定した試験によると、フェノールが9.2±1.4から5.3±0.8㎎(日 )に(p<0.01)、アンモニアが397±33から278±49㎍/g(日)(p<0.001)にそれぞれ低下しています。又、腸内のpHも6.4から6.2に低下したと報告されています。フェノールやアンモニアは糞便臭をもたらすことから、レジスタントスターチのこのような有害物質の低減効果は、食品素材として多くの用途が期待されるのではないかと研究者達は述べております。

レジスタントスターチの糞便量の増加やpH低減の効果については、多くの研究報告
があります。一部を下記に記載しておきます。

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引用文献

1. Dietary modulation of the human colonic microbiota: introducing the concept
of prebiotics
Gibson GR,and Roberfroid MB.
J Nutr 125:1401-1412,199
2. Effect of resistant starch on fecal bulk and fermentation-dependent events in
humans.
Phillips, J., Muir, J. G., Birkett, A., Lu, Z. X., Jones, G. P., O'Dea, K., & Young,
American Journal of Clinical Nutrition
62(1)121-130. https//doi/org/10.1093/ajcn/62 1.211 (1995)
3. Resistant starch lowers fecal concentrations of ammonia and phenols in
humans
Ann Birken, Jane Muir, Hodi Phillips, Gwyn Jones and karine O’Deco
Am. J. Clin. Nutr1996.63:766-72 American Society of Clinical Nutrition

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