口臭は腸でも発生している?!

口臭はどんな悩みを引き起こすでしょうか?

会話時などに人に迷惑をかけてしまうという、加害者意識を抱くようになります。

目に見えないものであるがゆえに、どんどんマイナスな自己イメージが増殖していき、パーソナリティーや性格、精神状態によってはかなり深刻な悩みになってしまいます。

できるだけ人と接しない生活や仕事を選択したり、引きこもりに陥ってしまうことさえあります。

私は歯科医院開業時に口臭治療に専門的に取り組み、約7年で1,000名以上の方の治療をしました。

口臭外来を訪れる方のほとんどは、人知れず様々なことを実践し、それでも治らない、気になってしまう…ということで訪れます。

何とか自分で確認しようと口臭測定器を購入して調べてみたり、コップやビニール袋に吐いた息をためるなど様々な工夫をして、自分で自分の臭いを嗅ごうと試みたりしています。

口臭を退治するために、洗口剤や消臭グッズを用いたり、効果があるとされている食べ物や飲み物を積極的に摂ったり、皆さん涙ぐましい努力をされていらっしゃいます。

歯周病や糖尿病、耳鼻科的な疾患等による病的な口臭であれば、その原因疾患を治療すれば解決します。

ところが口臭の悩みを解決に訪れる方は、一般的に言われている原因、胃が悪いなどに関しては、すでに検査、治療、指導などを受けている場合がほとんどです。

つまり、一体何が原因なのかわからず、途方にくれてやってくるのです。

口臭が発生する"2つのルート"

嫌な臭いがする物質が吐く息に混ざって出てくることで口臭は生じます。

ではその嫌な臭いは、いったいどこからやってくるのでしょうか?

それには2つのルートがあります。

1.吐く息の通り道である、のどや口で発生して混ざる場合

2.体の内部で発生したものが血液に乗って肺まで到達し、ガス化して吐く息に混ざる場合

です。

1について少し解説すると、口やのどに生息している菌がイヤな臭いの物質を作り出しますが、通常は自浄作用によって洗い流され口臭を引き起こすことはありません。

では、どういう時に発生するのか。

A.菌の量が増える=口や舌、喉の炎症、衛生状態の悪化

B.自浄作用が低下する=口や舌の動きの低下、唾液が少ない状態

これでは、なかなかピンと来ませんよね・・・

みなさんの実生活で例えると、ステイホーム、リモートワークなどで、1日中PCに向かって仕事をしたり、人と会話の機会もなく、水もあまり飲まないなど、口や舌を動かさなくなりがちです。B.の自浄作用が低下するに当てはまります。適宜、水分を補給したり、ガムを噛んだり、口の中で舌の運動をしたりすることで自浄作用の低下を防ぐことができます。ランチの後の歯磨きや口を濯ぐなどで、A.の菌量の増加を防ぐことも忘れずに。コロナ禍になり、マスク生活を余儀なくされていますが、口臭も含めて口を隠すことができるので、実際、口内環境が悪化している人は多くなっています。マスクの中で、臭い物質が混ざった息をまた吸い込むという悪循環になり、滞留してしまい臭いの元となるのです。

2の体の内部で発生したものが吐く息に混ざるということはどういうことなのでしょうか?

口臭とは区別されるべき現象ですが、深酒後の酒臭さ、あるいはニンニク臭についての説明がわかりやすいでしょう。酒臭さはアルコールの分解産物であるアセトアルデヒドという物質が腸管から吸収されて血液中に混ざり、その一部がガス化して呼気から排泄されたり、汗や尿に混ざって臭気として感じられる結果ですし、ニンニクを摂取した場合も腸管からの吸収後に、同様のメカニズムで独特の臭いを生じさせます。これと同じカラクリで消化器系の不調により、異常に発生した臭い物質が腸で吸収され血液によって肺まで運ばれ、呼気に混ざって口臭を生じさせるのです。

したがって、2の呼気由来の口臭の治療に際しては、まず直接的な原因となる疾患があれば、必要に応じて内科医の協力を仰ぎ、疾患ではないものの消化・吸収・排泄過程に不調があれば、その改善を指導します。

具体的な指導をするために、口臭をいつどのように感じたか、睡眠や排泄、食事、水分摂取、仕事といった生活パターン、心の状態、疲労度、精神的なストレスなどについて、一週間程度詳しく記録してもらい、見つかった問題点の改善を促します。睡眠不足やストレスは自律神経の失調を招き、自律神経とつながりの深い腸の不調につながります。栄養に偏りがあったり時間の不規則な食生活も、腸の不調を起こし、例えば便秘で便やガスが腸内に長い間溜まってしまうようなことがあると、一部の成分が腸内で再吸収され、臭いの元となる場合もあるのです。

口臭発生のメカニズム

便秘や腸の不調は、単に「お腹がスッキリしない」「下腹がポッコリして格好悪い」といようなことだけでなく、口臭にまで影響を及ぼす深刻な事態を招きかねないのです。

「もしかして、口臭があるかも…?」「家族に口臭を指摘された…」という人は、口内環境を清潔にすることはもちろん、自分の腸内環境も今一度見直してみることもおすすめします。

歯を磨いたり、口を濯いで口内を清掃するように、腸の中も綺麗に保つためには、やはりレジスタントスターチや食物繊維、乳酸菌を上手に取り入れて、腸に余分なものを溜めないということが大切になってくるのです。

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