産学共同研究:グリーンバナナ由来レジスタントスターチによる便秘やメンタルヘルス、肌状態などの改善効果

2020年8月〜9月にかけて、便秘に悩む成人女性に、食物繊維と同様の特性を持つレジスタントスターチを豊富に含む「スマートスターチ(バナナでんぷん)」を摂取していただき、便通状況の改善や脳腸相関によるメンタルヘルスへの影響を調べ、一定の効果を確認しましたので、その研究結果について報告します。

●試験概要
【実施期間】2020年8月~9月
【被験者】 20代~50代の女性39名(SNSで募集、便秘評価尺度(J-CAS)が高値で持病の無い方を選抜)
【実施手順、及び試験内容】以下「研究デザインと方法」参照

●試験結果

① 便秘の改善
② メンタルヘルス(ストレススコア)の改善
③ QOLの改善(肌状態の改善・排便時の爽快感の改善)

上記3項目において、有意な改善が見られた。(詳細な研究結果については下部レポート参照)


スマートスターチ株式会社&永井研究室
2020年度共同研究レポート

「便秘の訴えを有する成人女性を対象としたグリーンバナナ由来レジスタントスターチ摂取試験」


試験結果Ⅰ「排便への影響」

便秘評価尺度(J-CAS)で評価したスコアは、39人中29人(約74.4%)に スコアの低下(改善)が認められた。開始時の7.74±2.20点から、終了時に は5.41±2.34点へと有意に低下した (p < 0.001)

便秘評価尺度(J-CAS)で調べた便秘傾向でなかった人(スコア5点未満)は、開始前は2人 (5.1%)であったが、終了時には16人(41.0%)に増加した。

試験結果Ⅱ「メンタル(ストレス)への影響」

SCLで評価したストレススコアは、 終了時には、39人中27人 (69.2%)にスコアの低下(改善) が認められた。

開始時の15.21±4.80点から、終 了時には12.97±5.16点へと有意 に低下した(p < 0.001)。

【解説】
脳と腸は、自律神経やホルモンなどを介して互いに影響を及ぼし合っており、このことは「脳腸相関」と呼ばれています。ストレスを感じると腹痛や便 意を催したり(脳→腸)、腸内の環境が悪くなると不安やうつなどの原因になる (腸→脳)というように、腸内細菌を含む腸の状態が心の健康とも密接に関連することが知られるようになってきました。
今回の、便秘の改善とともに、メンタルの状態も良くなっているという結果は、 レジスタントスターチが大腸内で腸内環境改善に寄与した可能性が考えられます。 しかし、腸内細菌の解析をしていないので、探求はこれからです。今後、さらに研究を進めたいと考えています。

【参考】今回活用した簡易ストレス度チェックリスト(SCL)

試験結果Ⅲ-1「肌の調子(主観的評価)」

肌の状態を、良い(2点)、普通(1点)、悪い (0点)で自己評価してもらった結果、開始1週目は0.92±0.58点であったが、3週目には 1.23±0.63点と有意な上昇がみられ (p=0.023)、4週目には1.28±0.56点へとさらに上昇した。1週目と比べて4週目にも有意な上昇がみられた(p=0.006)。

試験結果Ⅲ-2「排便時の爽快感(主観的評価)」

排便時の爽快感を、すっきり(2点)、普通(1点)、不快(0点)で自己評価してもらった結果、開始1週目は0.90±0.72点であったが、3週 目には1.23±0.67点と有意な上昇がみられ (p=0.019)、4週目には1.26±0.68点へとさらに上昇した。1週目と比べて4週目にも有意な上昇がみられた(p=0.029)。

【解説】
研究参加者による自己評価で客観的評価ではないことが研究の限界ですが、モニタリングを継続していく中で、週ごとにスコアが良くなっていった結果は興味深いです。今後、客観的なデータによる検証が望まれます。

研究デザインと方法

■研究デザイン:
A Non-Randomized, Open-Label, Single-Arm Study(非無作為化、非盲検、単群試験)
研究参加者にサンプルを摂取してもらい、介入前後のデータより効果を検証した。

■研究参加者:
SNSでの被験者募集に応募した217名の女性から、重複応募やアンケート未回答、条件不整合などの191名を除いた40名が参加し、39名(20代3名、30代20名、40代13名、50代3名)が完了した。
介入(摂取)期間:2020年8~9月の30日間

■研究の分担:
当研究室では、試験設計(研究デザイン、質問紙・モニタリング項目設計)、データの統計解析、結果レポート作成までを担当。スマートスターチ株式会社は、被験者募集と実施中のモニタリングを実施。

■試験サンプル:
グリーンバナナ(未熟)を原料とする生デンプン粉末(無味無臭)10 g(レジスタントスターチ2[RS2] 6 gを含有する)。

■評価項目:
毎週webアンケートにて排便日数や便の形状、肌の調子、爽快感、体重、自由記述式による心身の変化などをモニタリング。介入前後に、便秘評価尺度(J-CAS)や簡易ストレス度チェック(SCL)、食習慣調査、生活習慣調査を実施。

試験サンプル

■試験サンプル:
レジスタントスターチ(RS2a)
・スマートスターチ社製・粉末を1日10 g(スプーン2杯)摂取
→グリーンバナナ由来生デンプン(レジスタントスターチ含有62.3%、凍結乾燥でない生デンプン)

■コンプライアンス(摂取率, 平均±標準偏差)
・モニタリング4週終了時 98.4±4.1% ※高い摂取率が示された。

※試験に利用したスマートスターチ(グリーンバナナ由来レジスタントスターチ)はこちら

【試験サンプルの補足情報と参考文献】

RSの分類:
未熟バナナ(グリーンバナナ)に含まれるデンプンは、レジスタントスターチの1種 であり,RS2aに分類される。 *文献1

RS2aの性質
アミロース含量は高くないが、Bタイプの結晶構造を持ち,調理や糊化されていない生デンプン。
食品中の例:未熟バナナ(グリーンバナナ),生ジャガイモ。 *文献1

(用語の説明)
RS は、「健常人の小腸管腔内において消化吸収されることのないデンプンおよびデンプンの部分分解物の総称」である。作用のひとつに、腸内環境改善効果が報告されている。 *文献1

*文献1) 海老原清レジスタントスターチの栄養・生理機能.スターチの栄養・生理 機能.日本調理科学会誌 47(1): 49-52, 2014

/以上


スマートスターチ株式会社&永井ラボ 2020年度共同研究レポート

公立大学法人兵庫県立大学 環境人間学部 栄養教育・栄養生理学研究室
教授 永井成美
研究メンバー 久保歩美,黒田佳澄
(管理栄養士課程4年生) 本田 貴子(RA)

https://www.u-hyogo.ac.jp/shse/narumi/index.html
(研究レポートはこちらからご覧ください)

※研究デザイン選択、試験計画から統計解析、結果レポート作成を担当


スマートスターチ株式会社
代表取締役社長 工藤泰正
研究メンバー 林原克明, 福田万里子

https://smartstarch.co.jp/

※被験者募集と実施中のモニタリングを担当

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