レジスタントスターチのエビデンス紹介「難消化性作用Ⅱ」

前回に続き、レジスタントスターチの健康機能に関する研究文献を幾つか紹介したいと思います。レジスタントスターチが小腸で消化吸収されないことから、先ず期待されたのが、ダイエットや血糖・インスリンへの効果で、この分野で多くの研究が行われています。健常者を対象としたサプリメントや機能性食品素材としての研究に加え、肥満糖尿病などのリスクの高い人を対象とした研究も多く行われています。

今回、先ず紹介するのはカナダの大学と大手製パン企業の研究者達による共同研究です。1)

この研究は、糖尿病リスクの高い24名の成人男女被験者による、無作為二重盲検クロスオーバー試験方式でおこなわれています。この試験ではレジスタントスターチ配合のベーグルが使用されています。4週間の休止期間をはさみ前後4週間の試験で、対照としてレジスタントスターチ無含有で小麦粉だけで作ったベーグルとの比較で行われています。試験開始前と各試験終了後の翌日に、空腹時と食後の血糖及びインスリン反応を調べています。

本試験では、レジスタントスターチを配合したベーグルの摂食は、対照群に比べ、空腹時インスリン(AUC)の有意な減少効果(22.1% p<0.04)を, 又、インスリン抵抗性でも同様の減少効果(23.1%、p<0.04)を認めています。

これらの結果から、研究者達は、本試験で使用したベーグルなどのレジスタントスターチ含有食品が、空腹時及び食後の血糖やインスリンの改善に有効であり、2型糖尿病に対する予防的な役割を果たすことが実証できたと結論づけています。

同様に、日本でもレジスタントスターチ配合パンの試験報告があるので紹介します。 2)

これは、大学の研究者グループと大手製パン会社の研究者達が、20名の健常者を対象に、レジスタントスターチ含有のパンを使用して、食後血糖抑制効果を調べるために行った試験です。

この試験では、20名の被験者を空腹時血糖値が110以下と110以上の2群にわけ、レジスタントスターチ含有パン(RSパン1枚6g)とレジスタントスターチ無含有パン(対照パン)摂食後の血糖値及びインスリンに対する効果を比較しています。

試験結果によると、レジスタントスターチ含有パンで、血糖値もインスリンも抑制効果が認めら、中でも、下記のグラフが示すように、基底血糖値が高い高血糖予備軍でより顕著な抑制効果(血糖値;60分でp<0.05、90分でp<0.01又インスリン値;60分でp<0.05、90分でp<0.01、120分でp<0.05)が認めたられています。

研究者達は、これらの結果を踏まえ、レジスタントスターチ配合パンは、肥満・糖尿病など生活習慣病の予防や治療に有効な補助的手段として期待されると報告しています。

又、台湾の大学の研究者と病院の医師達のグループも共同で、レジスタントスターチ配合のパンを使い、健常者での食後GIの変化について試験を行っています。3)
彼らは、小麦粉の一部をレジスタントスターチに置きかえてパン(置換率10%、30%、60%)を作成、食後グリセミック指数(GI)の変化を調べています

試験の結果、小麦粉をレジスタントスターチに置きかえる率が高い程、食後GI値は下る用量依存性のあることが認められ、60%及び30%置換の場合、置換なしの場合に比べそれぞれ28.7%、28.1%とGIが低下したと報告しています。

筆者達は、小麦粉をレジスタントスターチに置換したパンでも、食後のGI及び血糖反応が低下することから、レジスタントスターチは食後血糖値の上昇を抑える働きがあると結論づけています。

  次いで、メキシコの大学研究者と病院の医師達との共同研究チームが行った、肥満女性における、レジスタントスターチの血糖及びインスリン抵抗性に対する改善作用に関する研究成果を紹介したいと思います。4)

この研究では、糖尿病ではないがそのリスクが高い肥満気味の男女を対象に、レジスタントスターチとメトホルミン製剤(糖尿病患者で一般的に使用されている薬剤)を使用した比較試験研究を行っています。

40名の被験者をレジスタントスターチ群とメトホルミン群の2群に無作為に割当、

それぞれ240mlの水に溶かしたレジスタントスターチ(30g/日)又はメトホルミン製剤(850㎎/日)を、8週間、毎日朝食前に摂取してもらい、試験期間終了前後に採血、血糖やインスリン感受性の変化を調べています。

結果は下記のグラフが示すように、レジスタントスターチ摂食群とメトホルミン摂取群の両群で血糖及びインスリンにおいて有意な減少効果が認められたと報告しています。

研究者達は、このようにメトホルミンと同様な効果を示したことから、レジスタントスターチは、肥満を起因とする併発症のリスク低減において、安価で副作用がないことから、十分期待できる素材であるとしています。

引用文献

1) Resistant Starch Bagels Reduces Fasting and Postprandial Insulin in Adults at Risk of Type 2 Diabetes
Sarah A Dainty, Shannon L Klingel, Stephanic Pilkey, Egan McDonald, Bruce Mckeown, Micheal,  J Emes, and Alsion M Duncan Department of Human Health and Nutritironal Sciences and Molecular and Cellular Biology, University of Guelph Canada
Canada Bread Company Limited, Toronto, Canada
The Journal of Nutrition, Nutrition and Diseases September 2016

2) Effect of Bread Containing Resistant Starch on Postprindial Blood Glucose Levels in Human
Yuji Yamada, Seio Hosoya, Shigeru Nishimura, Takashi Tanaa, Yoshitake Kaimoto, Akira Nishimura and Osami Kaimoto
Center for Health Care, Osaka University of Foreign Studies, Osaka
Central Institute, Yamazaki Baking Co., Ltd. Tokkyo Japan 
Biosci., Biotechnolo. Biochem. 60(3), 225-266, 2003

3) Bread Containing Type-3 Resistant Starch Reduced Glycemic Index and Glycemic Response in Healthy Young Adults
Meng-Hsuch Amanda Lin, Chih-Rong Shyr and Jenshinn Lin
Department of Food Science National Phingung University of Science and Technology, Pingtung, Taiwan
Current Topics in Nutraceutical Research Vol.10 No.314,pp143-150, 2012

4) Potential Beneficial Effects on Native Banana Starch on Glycemia and Insulin Resistance in Obese Non-Diabetic Women
orge L Ble-Castillo, Maria A Aparicio-Trapala, Armando Gomez-Vazquez, Aruro Rodriguez-Mariscal Teresa Ramon-Frias and Uan C. Diaz-Zagoya
JEVERCLENCIA Jun 2012, Vol. 37, N6

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