レジスタントスターチのエビデンス紹介「難消化性作用 Ⅰ」

レジスタントスターチの健康機能については、世界的にも関心が高く、様々な角度から多くの研究が行われています。その中から科学的知見に基づき、難消化性・プレバイオティクス・ポストバイオティクスの3つの分野に分けて、それぞれ数点づつ、ご紹介していきます。

『難消化性作用』

◎エビデンス vol.1

先ず、デンマーク、イタリアなど欧州の研究者チームが行ったレジスタントスターチの血糖・インスリン抑制効果に関する研究をご紹介したいと思います 。

参考文献(1) Effects of Acute Ingestion of Native Banana Starch on Glycemic Response Evaluated by Continuous Glucose Monitoring in Obese and Lean Subjects
G.J.Dominguez,Jose D Mender et al., Div. of Public Health Sciences, University of Tabasco, Mexico Int. J. Eniron. Res Pablic Health 2015

この試験は、通常の易消化性デンプン(コーンスターチ)と難消化性デンプン(レジスタントスターチ)を比べたものです。被験者が摂取しやすいように、人工甘味料で味付けしたシロップに各スターチ50gを混ぜ、健康な男女10名に摂取してもらい、摂取後の血糖及びインスリンの違いを比較しています。

結果は、下記のグラフが示すように、レジスタントスターチの入ったシロップを摂取した後の血糖値やインスリンで有意な低減効果が認められ、レジスタントスターチの難消化性(消化酵素抵抗性)が実証されたと研究者達は報告しています。

◎エビデンス vol.2

別の試験がメキシコの大学や病院の医師達のチームにより行われています。

参考文献(2) Resistant starch: the effect on postprandial glycemic, hormonal response, and satiety;
Anne Raben, Anna Tagliabue and Anne Astrap d
Am J Clin. Nutr; 60:544-51, 1994

前の欧州の試験が単独摂取後の血糖値やインスリンの変化を調べたものだったのに対して、この試験では5日間の試験期間をもうけ、連続血糖モニタリングにより、被験者の血糖値を記録し、血糖及びインスリンの変化を調べています。即ち、20名の健常被験者に、2種類のスターチ(コーンスターチ又はレジスタントスターチ)のどちらかを4日間、毎日約40g摂取してもらい、5日目に採血、更に7日間の休薬期間を経た後、クロスオーバーしてもう一方のスターチを4日間摂取、5日目に血糖及びインスリンを比較しています。又、本試験では20名の男女被験者をやせ型グループと肥満型グループにわけても考察しています。

試験の結果は下記のグラフが示すように、通常の易消化性でん粉(コーンスターチ)に比べ、難消化性でん粉(レジスタントスターチ)では顕著な血糖及びインスリン値に低減効果が認められレジスタントスターチの難消化性が実証された報告しています。

◎エビデンス vol.3

又、英国オックスフォード大学の研究者達のグループも、レジスタントスターチのインスリン感受性や骨格筋脂肪細胞の代謝について研究を行っています。この試験では健常者10名に、1日50gのレジスタントスターチ又はコーンスターチのいづれかを食事に加え4週間摂取してもらい、4週間の休薬期間後、もう一方の検体を4週間摂取するというクロスオーバー方式で行われ、各4週間の摂取後に採血、血糖及びインスリン感受性の比較をしています。

参考文献(3) Insulin-sensitizing effects of dietary resistant starch and effects on skeletal muscle and adipose tissue metabolism
M.Denise Robertson, Alex S. Bickerton, A Louise Dennis, Hubert Vidal, and Keith N Frayun
Oxfort Center for Diabetes, Endocrinology and Metabolism, University of Oxford, United Kingdom
Am J Clin Nutr 2005:82:599-67

下記のグラフが示すように、レジスタントスターチを加えた食事摂取期間後の血糖及びインスリン値に有意な低減効果が認められたと研究者達は報告しています。

レジスタントスターチの難消化性、血糖及びインスリン低減効果を示すエビデンスはここに紹介したもの以外にも多々あり、これらを審査した欧州食品安全局(EFSA)は、高炭水化物食で、通常のでん粉をレジスタントスターチに置きかえた場合、“食後血糖反応が低下する”との表示を承認しました。

参考文献(4) Scientific Opinion on the substantiation of health claims related to resistant starch and reduction of postprandial glycemic responses (ID 681), “digestive health benefits (ID682) and “favors a normal colon metabolism” (ID783) pursuant to Article 13(1) of Regulation (EC) No 1924/2006  EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (NDA) European Food Safety Authority (EFSA) Parma, Italy EFSA Journal (2011;9(4):2024

この承認後、レジスタントスターチ(難消化性でん粉)を、通常のデンプンや小麦粉(易消化性でん粉)に置きかえた、例えばパンやクッキーなど、の食品に関する研究が広範に行われるようになりました。

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