海外文献から読み解くレジスタントスターチの健康機能

胃や小腸で分解、消化吸収され、私たちの最も大事なエネルギー源であるでん粉に、実は消化吸収されないでん粉もあることが発見され、これが“レジスタントスターチ”と名付けられたのは今から40年程前のことでした。

その10年後には、欧州共同研究委員会(EUREST)が、“レジスタントスターチを“小腸で消化吸収されないでん粉又はでん粉分解物”と公式に定義づけました。アメリカでは、米国穀物化学協会及び国立アカデミー医学協会食品栄養局が、レジスタントスターチを食物繊維に分類しています。

<レジスタントスターチの定義についての通知書(欧州科学委員会)>

発見された当初、レジスタントスターチは、研究者の間では注目されていましたが、一般での認識は殆どありませんでした。ところが最近になり、食や健康への意識の高まりとともに、一般の人々の、特に健康志向の人たちの間でレジスタントスターチの健康機能に対する関心が急速に高まってきているのです。

なぜ、レジスタントスターチが、研究者はもとより多くの人々の間で関心をもたれているのでしょうか。本連載「GLOBAL RESEARCH」では、世界中の研究者達が、今までに取り組んできた研究報告を取り上げ、レジスタントスターチの特性や機能について、今までに何が明らかになり、これからどんな研究が必要なのかについて、科学的な知見、エビデンスに基づいてわかりやすく解説していきます。

各論に入る前に、レジスタントスターチの健康機能を概要として以下まとめてみました。

レジスタントスターチの健康機能(概要)

数あるレジスタントスターチ機能に関する研究文献は数百文献にものぼり、また研究テーマも多岐にわたりますが、これらを大きく分けると次の3項目に分類できるのではないでしょうか。

<レジスタントスターチの3つの健康機能(イメージ図)>

①難消化性機能

レジスタントスターチが発見されるきっかけとなったのが、胃や小腸で分解されず、大腸に達する難消化性という機能です。難消化性であることから、当然、低エネルギー、低GI、インスリン抑制などの作用があります。言い換えれば、レジスタントスターチは、他のでん粉や小麦粉と同じように、でん粉としての物性を備えていながら、難消化性という他のでん粉にない機能をもっているのです。この機能こそが、栄養過多による飽食や肥満等の現代人がかかえる多くの健康懸念を解消する食品素材として期待されているのです。

②プレバイオテック作用

次いで注目されている健康機能は、腸内細菌とのかかわりです。即ち、消化吸収されず大腸に達したレジスタントスターチは、そこに住む腸内細菌(善玉菌)の貴重な栄養源になる点です。栄養源を摂取した善玉菌が増殖し、活性化することにより様々な健康機能がもたらされることが多くの研究により報告されています。これが“プレバイオテック作用”と呼ばれ、今最も注目されている機能です。

③ポストバイオテック作用

三番目の健康機能も腸内細菌に関係したものです。レジスタントスターチを栄養源(エサ)として摂取した腸内善玉菌は、(発酵を通じて)様々な物質を産生します(発酵産生物といわれています)。この発酵産生物(主として短鎖脂肪酸)が我々の体内に吸収され、それを通じて様々な健康機能が発揮されることになります。これを“ポストバイオテック作用”と呼んでいます。最近、この機能を対象とする研究報告も多くみられ、これからの研究課題として、正に、ホットな分野といえます。

以上のようにレジスタントスターチに関する研究は世界中の研究者達からこれまで数多く報告されており、このサイトでは、これらの研究報告に基づき、レジスタントスターチの健康機能について順次お話ししようと思っています。

次回は、各論に入る前の第二回目として、“腸内細菌と健康”についてお話ししたいと思います。お楽しみに!

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