レジスタントスターチから産生される短鎖脂肪酸の働き

短鎖脂肪酸とは、腸内細菌が生み出すもの

短鎖脂肪酸とは、腸内細菌の代謝産物である。つまり、わかりやすく言い換えると、腸内細菌が、食物繊維や”レジスタントスターチ”をエサとして、生み出すものが短鎖脂肪酸だ。主な短鎖脂肪酸には、酪酸、プロピオン酸や酢酸がある。

短鎖脂肪酸は、腸壁細胞のエネルギー源であり、腸内血流を増昇し、pHを低下させ、異常腸細胞集団の発現を抑制する。

短鎖脂肪酸の量は、回腸を通過する間に減少する。これは回腸細胞や腸内細菌による摂取や資化が行われているためである。

ヒトでは、短鎖脂肪酸の産生量は、通常、酢酸が最も多く、次いでプロピリン酸で、酪酸が最も少ない。食事によって産生される短鎖脂肪酸の濃度は、近部回腸で70-140mMで、遠部回腸で は20-70mMと、多くの腸疾患や腸がんが発現する遠部回腸の方がずっと濃度が低 い。

短鎖脂肪酸は腸の健康に有用

腸内細胞が最も好むのは酪酸だと言われている。特に酪酸は、ヒトの大腸細胞の栄養源となることが明らかになっている(より正確には大腸上皮細胞)。また、損傷したDNAや好まざるDNAを有する細胞を取り除く働きもするため、大腸をきれいにすることができる。

したがって、 大腸内で短鎖脂肪酸を増加させる食事は、腸の健康に有用である。

腸内の短鎖脂肪酸の濃度や種類に影響を与える最も重要な2つの要素は、通過時間と食事の内容である。長い通過時間は、大腸内や糞便中の短鎖脂肪酸量を変える。さらに糞便中のタンパク質の分解を促し、アミノ酸発酵による短鎖脂肪酸の産生をうながす。

短鎖脂肪酸はダイエットの味方

昨今、糖質制限ダイエットが注目されている。短期間に、糖質をたくさん摂取すると、血糖値が急に上昇し、血液中に糖が増え、糖や脂肪を細胞に取り込むことになり太ってしまう。

一方、短鎖脂肪酸が血液の中に豊富にある場合、細胞による糖や脂肪の吸収を防ぐという働きが、マウスを使った研究では報告されることが多くなってきた。

少なくともマウスの実験では、”レジスタントスターチ”をエサとして、腸内細菌が短鎖脂肪酸を生み出し、短鎖脂肪酸は肥満防止に効果があると考える研究者が多い。

ただ、ヒトの短鎖脂肪酸を正確に測定することは非常に難しく、ダイエットに効果があるかを検証する実験は、これからの挑戦ではある。

しかしながら、日頃から、意識的にレジスタントスターチを摂取しているヒトは、スリムであることが多いというのが、過去四半世紀に渡って、レジスタントスターチを研究してきたうえでの実感である。

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